今回は少しライトな感覚で読める本をご紹介します。
『にぎやかな外国語の世界』黒田龍之助
「外国語を勉強する」というと、どうしても堅苦しいイメージを持つことが多いですが、本書は外国語学習の楽しさを教えてくれる一冊です。
かくいう私も多言語学習者です。
日本語を母語とし、中国語や英語で仕事を行い、趣味として韓国語を学んでいます。スペイン語や古代エジプトのヒエログリフにも興味があり、気づけば身の回りにはさまざまな言語があふれています。
本書の著者は、タイのお菓子やヨーロッパのお菓子のパッケージを例に挙げながら、世界には実に多様な文字が存在することを紹介しています。
インドのナーガリー文字や右から左へ書くヘブライ語・アラビア語など、文字の形や作法からも文化の違いを感じることができます。
また、言葉の「音」にも注目しています。中国語のように音の高低で意味が変わる言語や、アフリカのコサ語のような日本語にはない発音など、世界には驚くほど多彩な音が存在していると述べます。
数字の表現もさまざま。英語やフランス語では単数・複数を常に意識する必要があり、中には「2」を特別扱いする両数(双数)を持つ言語もあります。普段は当たり前に使っている日本語の助数詞の複雑さも改めて考えてみると世界の中ではかなり特殊といえるでしょう。
さらに、各国の名前の付け方にも触れています。
モンゴルやトルコでは悪魔除けのために変わった名前を付ける風習があり、ミャンマーでは生まれた曜日によって名前の最初の子音が決まるそうです。国ごとの文化や価値観が名前に反映されていることがわかります。男女の命名の違いにも注目しています。男の子には勇ましい名前、女の子には花の名前をつけることが多いのだとか。
後半では、世界の言語事情や言語の系統について解説されています。現在、世界には3000~5000の言語があるとされますが、そのうちの75%から90%が100年以内に消滅する可能性があると述べられています。
言語は単なるコミュニケーションの道具ではなく、その民族の歴史や文化を映し出す存在であることを改めて実感しました。
本書を読んで感じたのは、「外国語を学ぶことは、単に言葉を覚えることではなく、多様な世界を知ること」だということです。
知らない言語に触れることで、世界の多様性を認識することができます。
外国語学習者はもちろん、言葉や異文化に興味がある人にもおすすめの一冊です。肩肘を張らずに読める内容ながら、世界の広さと奥深さに気づかせてくれる本でした。