『JUST KEEP BUYING』(ニック・マジューリ 著)
投資やお金の本を探していると、つい難しい専門書に手を伸ばしてしまいがちですが、本書『JUST KEEP BUYING』は、その名の通りシンプルかつ力強いメッセージを伝えてくれます。
自動的に資産が増え続ける“3語の呪文”―― JUST KEEP BUYING(ただ買い続けなさい)。著者ニック・マジューリが説くのは、複雑な金融テクニックではなく、誰にでもできる継続の力でした。
本書は「貯金力アップ篇」と「投資力アップ篇」の二部構成で、お金の基本から実践的な投資戦略まで、体系的にまとめられています。以下では、印象的なポイントをいくつかご紹介します。
貯金から始めるべきか、投資から始めるべきか
お金がない人はまず「貯金」、お金がある人は「投資」を。
年齢や状況に応じて、重点を貯蓄から投資へとシフトしていくべきだと著者は説きます。世の中の“絶対的ルール”に縛られるのではなく、自分の状況を見極めることが大切です。
罪悪感なくお金を使う2つの方法
・2倍ルール:贅沢品を買うときは、その金額と同額を投資に回す
・充実感重視:一時的な楽しさより、長く心を豊かにする体験を優先する
さらに「体験に投資する」「時間を買う」「人のために使う」といった使い方が、幸福度を高めるお金の使い道だと紹介されています。
投資に関する核心的アドバイス
- ドルコスト平均法こそ最強の戦略。押し目を待つよりも、ただ買い続ける方が長期的には有利。
- 個別株には手を出すな。インデックス投資が王道。
- 投資の究極の目的は「よりよい人生を送るため」であり、過度なリスクを取って贅沢を追うことではない。
特に「神でさえドルコスト平均法に勝てない」というくだりは強烈で、投資に対する余計な迷いを取り払ってくれます。
いつ投資すべきか
多くの人が「投資のタイミング」を気にしますが、著者ははっきり言います。
「投資はできるだけ早く始めるべきだ」。
理由はシンプル。市場は長期的に見れば上昇を続けてきたからです。マーケットタイミングを狙って現金を抱えて待つことは、むしろ大きな機会損失につながります。
株と債券を組み合わせた低リスクのポートフォリオでもいいから、思い立ったときに投資を始めることが最善だと説かれています。
相場の変動を恐れるな
投資初心者にとって最大の壁は、相場の大きな下落です。
しかし著者は、「リスクを取らないことこそ最大のリスク」と強調します。
過去のデータを検証すると、下落を恐れて債券に逃げたり、市場から退場したりすると、長期的なリターンは大きく減少してしまいます。むしろ、変動を受け入れて持ち続ける「バイ・アンド・ホールド」戦略が最も資産を増やす近道。
つまり、市場が揺れても心を揺らさないことこそ、成功する投資家の必須条件なのです。
お金よりも大切な資産
最終章で著者が強調するのは「時間」という資産です。
どれだけ資産を築いても、人生そのものの満足度を高められなければ意味がありません。お金はあくまで手段であり、目的は「どう生きたいか」なのだと気づかされます。
まとめ
『JUST KEEP BUYING』は、投資初心者から経験者まで、すべての人に響く内容を備えています。
本書のメッセージはシンプルです。「迷わず、買い続けよ」。
ただし、それは盲目的な投資ではなく、「貯金」「投資」「支出」「人生の目的」のバランスを考えたうえでの行動指針です。
投資を始めたいけれど何から手をつけていいかわからない、あるいは途中で不安になって立ち止まってしまった――そんな人にこそおすすめしたい一冊です。