『外資系1年目のための英語の教科書』マヤ・バーダマン
前回の記事では、ビジネスの現場で英語を活用するための学び方に関する書籍をご紹介しました。今回取り上げる本は、その続編とも言える内容で、「具体的にどのような英語を学べばよいのか」を体系的に示してくれる一冊です。
著者のマヤ・バーダマン氏は、アメリカ人の父と日本人の母を持ち、英語が身近な環境で育ちました。学校教育でも英語中心の生活を送ってきたそうです。しかし実際に社会に出ると、自分が親しんできた英語とは異なる「ビジネスに適した表現」と「その場にふさわしいマナー」が求められることを痛感したといいます。本書は、そうした自身の失敗や学びの積み重ねから生まれた「実践的な英語教科書」です。
著者によれば、ビジネスで頻繁に用いられるフレーズは思いのほか限られており、大切なのは「完璧な英語」や「ネイティブ並みの発音」を目指すことではないとのことです。むしろ要点を的確に伝え、それを丁寧な言葉遣いとマナーで表現することこそが、国際的なビジネスシーンで求められるスキルだと説きます。
その基本原則は次の三点に整理されています。
- 「英語には敬語がない」という誤解を正しく理解すること
- 丁寧な表現とマナーを組み合わせて使うこと
- シーンに応じて適切な表現パターンを選択すること
つまり、単に「伝われば良い」という発想にとどまらず、英語のニュアンスを正しく理解し、自然な感覚で表現を身につけることが重要だと強調されています。
本書は以下の三つのステップで学習を進める構成になっています。
- Step1:The Essentials をおさえる ― 基本的なマナーと例文を習得
- Step2:反復して音読 ― 実際の場面をイメージしながら声に出して練習
- Step3:Review Dialogueで総仕上げ ― 各章を振り返り、知識を定着
さらに、実際のビジネスシーンを想定したダイアログ形式で学べる点も特徴です。付属のMP3音声を活用すれば、耳からも効率的に学習を進めることができ、独習者にとって非常に心強い教材となっています。
個人的には、これまで毎月数千円をかけて英会話アプリを利用していましたが、率直に言って、この一冊での学習の方がずっと実りが大きいと感じました。税込2,310円という価格で、ここまで体系的に学べる内容が収められているのは大変お得です。
外資系企業を志す方や、ビジネス英語を基礎から着実に身につけたい方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。