『Die with Zero』ビル・パーキンス

『Die with Zero』 ビル・パーキンス

お金の使い方について考えるとき、私たちはつい「貯めること」に意識を向けがちです。老後の不安や将来のリスクを思えば当然のことですが、では「貯める一方で、何を失っているのか?」という視点を持ったことはあるでしょうか。

ビル・パーキンスの『Die with Zero』は、その問いに真正面から挑む本です。タイトル通り「ゼロで死ぬ」――つまり、貯めることよりも“いかにお金を人生で最大限に生かすか”を説いています。

本書は9つのルールに整理されており、そのいくつかを簡単にご紹介します。


ルール1 「今しかできないこと」に投資する

若いうちは体力も好奇心もあるのに、つい貯金を優先してしまいがち。しかし著者は、経験こそが本当の資産だと強調します。お金は後からでも稼げますが、20代の体力や行動力は二度と戻ってきません。

ルール2 一刻も早く経験に金を使う

人生で最も大切な仕事は「思い出づくり」。その瞬間にしか味わえない体験に積極的に投資することが、豊かな人生を形づくります。

ルール3 ゼロで死ぬ

「老後のために」と貯めたお金を結局ほとんど使わずに死んでしまうケースは少なくありません。資産を残すことが必ずしも美徳ではなく、自分のために最適に使い切ることが大切だと説きます。

ルール5 子どもには“死ぬ前”に与える

親が亡くなる頃には、子どももすでに50~60代。そこから大金を相続しても、活用の幅は限られています。むしろ20代や30代といった若い時期に渡す方が、お金の価値を最大化できるのです。

ルール6 年齢ごとに「お金・健康・時間」を最適化する

若い頃は時間があってもお金がなく、中年期にはお金があっても時間が足りない。だからこそ、人生のステージに応じてリソースをどう使うかを意識することが重要です。

ルール9 大胆にリスクをとる

「リスクを取らないこと」が最大のリスク。後悔しないためには、一歩踏み出す勇気が必要です。


全体を通して感じるのは、「お金そのものには価値がない」というシンプルな真理です。お金は経験や時間と交換して初めて意味を持ちます。

老後に余らせて後悔するよりも、今この瞬間を豊かにするために使う。その視点を持つだけで、日々の選択が大きく変わってくるのではないでしょうか。

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